『いったいゲーム業界で何が起きているんだ!?:2023年のゲーム業界におけるキャッシュフロー危機と、2024年の展望』のあとがきっぽいなにか

本当は書きたかったけど、上手く交わらず、カットした話の墓をここに建てる。

個人的にとても不思議な気持ちになっているのがBattlebit Remasteredだ。Battlefield 2042の失敗を背に、彗星のように現れ八万六千人のライブユーザーを叩き出すなど、BFに取って代わるかと思いきや、今やユーザー数は1/10に落ち込んでいる。個人的には「やはり少人数のデベロッパーで作っているゲームは市場が飽きる速度に追従して追加コンテンツを作る能力も、ストリーマーのメタに合わせてバランス調整をやるマンパワーもないわけで、AAAの代替をインディーゲームに求めるのは限度がある」論証かな、と思ってる。あ、後、全然関係ないけど、私は好きだった、宇宙空間3DシューターのBoundaryは、見事デイリーユーザーが一桁代まで落ち込み、これまた私は好きだった宇宙空間3DシューターのShattered horizon同じ運命を辿りそうです。対戦型シューターは人口がいないと成立しないので、やっぱりどうしてもインディーゲームと相性が悪い気がしますね。

ここ数年はユーザーがデベロッパー・パブリッシャーへ反旗を翻す手段としてレビューボム(Review Bomb、ゲームなどの評価ページにて複数のユーザーがマイナスの評価を一斉に行う手法)が一般化した。この手法が取られる理由は、これまで述べてきたゲーム自体の収益構造や、未完成リリースのみではなく、表現規制やゲームバランスの変更など、多岐にわたるが、手法自体の一般化は間違いない。

ゲーム業界を半場見捨てて、ブロックチェーンやAI学習に注力し始めたNVIDIAの株価がああなったのは、象徴的。正直、NVIDIA謎の半導体企業を言う側の気持ちは私はわかる。ゲーマーに寄り添っている間は、NVIDIAはあまり市場での存在感がなかったし、狭い業界でユーザー知名度が高かっただけだから。逆の事例なら例えばHiSiliconが今アツい!って言っても、Isどこ?ってなるのが大半の一般人だろうし。それに、NVIDIAGPU、最早PPU(Physics Processing Unit)か、MPU(Multi-Processing Unit)って改名したほうがいいんじゃないかなとすら思ってる。

一個前に関連してだけど、AAAタイトルがこのような問題を見せる中、インディーゲームもインディーゲームで凄まじい過競争局面に入ってる上でロングテールが消滅しつつあるって話は書きたいのだけれども、後日。(たぶん書かない)ただ、スイカゲームが大ヒットしたし、Lethal Companyが文字通り空前絶後のプレイヤーカウントを叩き出しているので、わからん。大丈夫かもしれん。

個人的には、インディーゲームと配信者/Vtuberらは比較的良い関係を築いた気配があるが、AAAゲームと配信者/プロゲーマーは未だに正しい共生関係を見いだせていないふしを感じる。ここの違和感、私以外の誰か言語化して欲しい。

実際、コロナ禍明けの危機は、ゲーム業界より映像ストリーミング業界の方が厳しいのだけれども。かつては、Forbesは映像ストリーミング業界には三つのビジネスモデルがあり、それらは「サブスクし自らコンテンツを作るモデル」「過去の遺産を利用し安く運用する方法」「広告収益をベースとするモデル」であると説いた。それぞれのモデルケースは1つ目がNetflix、2つ目がDisney Plus、そして3つ目がYoutubeだったが、ここ二年で、皆が成長の壁に直面した。かつて黄金の卵に思えたストリーミングサービスは、消費者を含めた誰もが敗北する結果に終わった。一番マシなのがYoutubeの広告収益モデルであったがそれもクリエイター側から昨今収益の低下を指摘されている。それでもまだマシからと、NetflixDisney Plusも広告ありプランを展開し始めた。

 

貧窮したゲーム業界も同じ方向に走ってもおかしくない。先のマイクロトランザクションが嫌で、なおかつ、ブロックチェーンマネタイゼーションとかいうマイクロトランザクションより嫌われている手法に手を出さないのであれば、モバイルゲームのように、AAAゲームでゲーム内広告を目にし始めるのはあり得る未来だろう。実際、EAはゲーム内広告用の特許を取り始めている

広告を見ないためにゲームに課金する明日は、きっとすぐそこまで迫ってる。

どうでもいいけど、Uberの時も思ったし、ChatGPTの時も似たようなことを思ったし、ここらへんの話最近よく考えているのだけれども、シリコンバレーのStartup、「均衡飽和状態にある既存のビジネスモデルに対して現状、我々は圧倒的に優位である」で展開し始めるのはいいんだけど、「我々が覇権を握った際に築かれる新しい均衡飽和は、我々が取って代わろうとした際の均衡飽和よりも収益性が悪い」ってなって値上げやコストカットに走るの、コメディー・ゴールドなのでやめて欲しい。支那の奥地は広うございますじゃないんだからさ。せめて、Walmartのように、「我々が進出した土地は価値が下がる」って予測を立てる強かさがほしいね。

誰とは言わないが、良いゲームを開発したとしても債務超過すれば社員が路頭に迷う可能性がある状況下にて良いゲームを作ることが優先したことを、一方的にプロデューサー側の美談として描く話は私は辟易としている。多少の予算オーバーなら仕方がないというのはわかるが、労働者を搾取する資本家以上の搾取、身を恥じろと思う。

あとがきじゃないけど

正直、単純化しすぎ、また都合の良く一面的に描きすぎた、という批判は受けるが、一方で、こういう側面は誰かが何時かは書かないといけないといけない話だと思ってて、故に、僭越ながら、本論を書かせていただいた次第だ。

個人的には、どっかの誰かがこの話をしてくれるだろうと、期待していたのだけれども、誰も一向に書く気配がない。元々、2023年に誰かが書くなら切り上げようと思っていたのだけれども、誰も書かなかった。なんで?

正直、私がこの手の記事を書く適任者な気が私はまったくもって、これっぽっちも、全然していないのだけれども、(予防線)逆にだからこそちょっと好き勝手に書けるのかなっていう気はしている。一応、ゲーム業界にはちょっとの間お邪魔していて、ゲーム翻訳とパブリッシング業務(とか、各種イベントでの説明スタッフとか、通訳とか)という業務に携わっていた。ので、ゲーム業界のフロントエンドとバックエンドを経験している(フルスタックエンジニアだ!いや、違うけど)上、現職である程度お金の話とかをしているので、まぁ、分かる部分はわかるとは思っているのだけれども、わからない部分はわからない。(特に大きなゲーム会社に勤めたことがないので、彼らの会計処理がどうなっているかが、会計報告書以上のことは謎)

それに、ファイナンシャルエキスパートを名乗るつもりはないし、ゲーム開発のプロでもない。ただ、独立系のライターはどうしてもここらへんのお金の話を感覚としてきっと理解できないの理解できるし(億円なんて数字、自営業には無縁の数字だ)、一方で、できるであろう、サラリーマンとしてゲームを作ってる人たちは、自社守秘義務NDAのしがらみに囚われてきっと書けないだろう。

特に、ゲーム業界の金を巡る話は、正直、ゲームライターでは、よほど興味がないと見えないし、興味があるライターは、ゲーム業界なんかよりもっと金が汚くて面白い業界のレビューをやるだろう。(半導体業界とかね)